蠅叩、蠅捕紙、蠅捕リボン、蠅捕瓶などの蠅を捕まえる器具や道具類は、いずれも夏の季語。蠅が人間の生活圏で目につかなくなるにしたがい、以前身近にあったこれらの諸道具も姿を消した。だが、厩や牛舎では、これらの諸道具はまだまだ活躍している。
掲句は、牧場の酪舎を覗いたときの作品。昼なお暗い酪舎の中には、出産をひかえた牝牛の暑苦しい息が充満しているように思えた。大儀そうに腹這う牛の顔や尻尾に、無数の虻や蠅がたかっていた。暗がりに蠅取リボンが垂れていた。平成22年作。
蠅叩、蠅捕紙、蠅捕リボン、蠅捕瓶などの蠅を捕まえる器具や道具類は、いずれも夏の季語。蠅が人間の生活圏で目につかなくなるにしたがい、以前身近にあったこれらの諸道具も姿を消した。だが、厩や牛舎では、これらの諸道具はまだまだ活躍している。
掲句は、牧場の酪舎を覗いたときの作品。昼なお暗い酪舎の中には、出産をひかえた牝牛の暑苦しい息が充満しているように思えた。大儀そうに腹這う牛の顔や尻尾に、無数の虻や蠅がたかっていた。暗がりに蠅取リボンが垂れていた。平成22年作。
インド原産のキョウチクトウ科常緑低木。中国を経て江戸期に日本に渡来した。車の排気ガスや大気汚染に強く、公園のほか、工場街や高速道路の緑地帯などでもよく目にする。6~8月に、枝先に白や紅色、桃色、淡黄色の一重又は八重の花を群がり咲かせる。葉を切ると白い乳液が出るが、毒性がある。

鳳蝶とも書く。アゲハチョウ科に属するものの総称。キアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハなど夏によく見掛けるので夏の季語になっている。大振りの揚羽蝶が木の奥から躍り出て虚空を舞うさまなどには、森の精の化身のような躍動感がある。

中国原産のシナノキ科の落葉高木。日本へは、臨済宗の開祖栄西が中国から持ち帰ったと伝えられている。6月頃、黄褐色の芳香ある五弁化を開き、花の盛りには多くの虻や蜂を引き寄せる。釈尊が悟りを開いたという菩提樹は、この木ではなく、クワ科の常緑高木のインド菩提樹。

「花衣(はなごろも)」は花見に行く時に女性が着る晴れ着。花見に豪華な花見小袖を着ることが流行した時代もあったが、現在では、花見に特別の装いをする女性を目にすることは稀になった。それでも、「花衣」というと、往時の華やかな風俗を連想するし、着飾った女性の晴れやかな表情も思い浮かぶ。
掲句は、花見の時に着ていた晴れ着を脱いで、救急研修医に戻る女性を詠む。「脱ぐや」の切れには、花見の楽しみから研修医の日常に戻る当該女性の心の切り替えの素早さが感じ取れ、それは現代を生きる人間の特色でもあるだろう。いっときの楽しみから救急研修医に戻ると、直ぐに多忙な日常が待っているのだ。『俳句界』令和5年6月号。