夏野といえば、猛々しく草が生い茂る広々とした野原と真っ青な空、湧き立つ雲の白さが思い浮かぶ。夏野はまた人里に通う大地であり、放牧や草刈りなど人々の生活に結びつく場でもある。
掲句は高麗の巾着田での作品。耕作地の隣に馬場があり、競走馬を退役したような栗毛や葦毛の老い馬が何頭か飼われていて、棒杭に縄で繋がれて草を食んでいた。馬場といっても客はほとんどおらず、私が佇むと不審そうに私の方を見ては、不機嫌に鼻を鳴らした。折から日照雨が辺りの草を鳴らして通り過ぎて行った。平成18年作。『春霙』所収。
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