本州、四国、九州に分布し、山地や深山に生える野生の多年草。ボタン科ボタン属に分類され、和名の由来は、山に自生しており、中国から渡来した芍薬に葉の形や蕾が似ているところからきている。春に発芽し、初夏に、白い5弁の花を茎の先に1輪咲かせる。2~3日で散る短命花。一般的な歳時記には掲載されていない。

本州、四国、九州に分布し、山地や深山に生える野生の多年草。ボタン科ボタン属に分類され、和名の由来は、山に自生しており、中国から渡来した芍薬に葉の形や蕾が似ているところからきている。春に発芽し、初夏に、白い5弁の花を茎の先に1輪咲かせる。2~3日で散る短命花。一般的な歳時記には掲載されていない。

蛾の多くは夜行性で、夏の夜の灯火を飛び回るので、「火蛾」「火取虫」などと呼ばれる。日本に生息するチョウ目の昆虫6000種のうち、「チョウ」と呼ばれるものは250種類で、他はすべて「ガ」であるという。「火蛾」といえば、速水御舟の日本画『炎舞』に描かれている、炎とともに舞い狂う蛾の姿が思い浮かぶ。
掲句は、山中の旅館の窓越しに見た「火蛾」が契機になってできた作品。その日は生憎の雨で、窓を打ったり、じっと張り付いたりしている蛾の後ろに、深々と山国の闇が下りてきていた。平成5年作。『河岸段丘』所収。
陸に棲む巻貝のうち、殻を持ち蓋を持たないものの通称で、「ででむし」「まいまい」などとも呼ばれる。殻のないものは「なめくじ」、殻に蓋をもつものは「田螺」などと呼ばれ、「蝸牛」とは区別される。
「蝸牛」はその愛嬌ある姿から童謡にも唄われ、人間の身近にいる生き物の一つだが、近年は目にする機会が減っている。それでも、雨が続いた日の生垣の葉の上などにその姿を見掛けることがある。

夏暁(なつあけ)は、夏の夜から朝に移り行く時刻を指す。まだ十分に明るくならないうちから、鳥たちが目覚めて鳴き始める。空には消え残る星が二、三。夜の冷え冷えとした空気がゆっくりとほぐれ始める。東の空は、太陽が昇る前の紅に微かに染まる。

「夜鷹」はヨタカ科の夏鳥で、春、繁殖のために日本の平地から低山の雑木林、草原などに飛来する。姿は鷹に似ているが猛禽類ではない。夏の夜にキョキョキョキョと続けて啼くのは雄。
掲句は牧場を囲む木立の中で、夜、佇んでいた時の作品。牧場といっても酪農の衰退で牛などはおらず、夜になると都会では考えられないような深い闇が辺りを占めた。時折雲間から、月の光が地上にこぼれた。後日、その辺りを夜出歩くと、熊が出没するかも知れないと教えてくれた人がいた。平成8年作。『河岸段丘』所収。