百合の蕊獣の鼻のごとく濡れ

百合は、ユリ科の多年生球根草で6~8月頃開花する。固有種の山百合、鉄砲百合などのほか、大陸から渡来した鬼百合など、日本に自生する百合は数多い。その中でも私は特に、山百合の野生と気品を併せ持つような趣に惹かれる。

掲句は、開花した山百合の雌蕊がとろりとした雫をつけて鈍くひかっているのを眺めていての作品。花の中央にある雌蕊は、いつ来ても生々しく濡れていて、動物めいた逞しさを感じた。平成22年作。


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