「明易し」は「短夜」の傍題で、夏の夜が短く、忽ち明けかかることをいう。
掲句は、近くの公園の池での早朝の嘱目。カルガモが一羽の雛鳥を従えて泳ぎ回っていた。数日前は二、三羽の雛を従えていたのが、鴉に襲われたのか、たった一羽になってしまったのだ。最後の一羽だけはどうか無事に育って欲しいと心の中で念じながら、暫くそこに佇んだ。「明易き」との季語の選択に、この世で限りある生を営む者同士の共感の思いが、投影しているのかも知れない。平成11年作。『河岸段丘』より。
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