玄室の闇を思へば雪加鳴く

「雪加」はスズメ目セッカ科の留鳥で体長12センチ程。川原や草原、農耕地などに棲み、昆虫、クモなどを捕食する。雄は繁殖期にヒ ッヒッヒッと弾力のある声で高らかに鳴き、下降する時はチャッチャッチャッという地鳴きをする。夏の季語。

掲句は、さきたま古墳群を訪れたときの作品。5~7世紀頃に作られた9基の古墳が群集している公園だが、公園といっても、当時は夏草が生い茂り、付近の畑や草原を縄張りにしている雪加が頻りに鳴いていた。木陰の乏しい炎天の日射しの中を歩きながら、古墳の横穴の奥にある石室の暗がりを想像した。平成16年作。『河岸段丘』所収。


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