蕗味噌にうすむらさきの苦みあり

蕗の薹は、楤の芽や独活、こごみなどと並んで、早春を代表する山菜の一つだ。「蕗味噌」は、蕗の薹を刻んで味噌等を加えて混ぜ、火にかけて作る。早春の味わいそのもののその風味を、酒の肴として味わうのもいい。齢を重ねるにつれて、蕗味噌の苦みが苦手でなくなったのは、私だけではないだろう。

掲句は、近年ことに好ましく感じるようになった「蕗味噌」の苦みを表現しようとしてできた作品。ポイントは、味覚を「うすむらさき」という視覚に訴えるものとして表現したことの成否だろう。令和5年作。


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