「蓴」(ぬなわ)、「蓴菜」(じゅんさい)は沼などの水面に葉を浮かべる水草の一種。 茎から出る新芽はゼリー状のぬめりで覆われており、吸い物や酢の物の食材となる(夏の季語)。
掲句は、職場の送別会で、宴が闌けた頃の気分を作品にしたもの。思えば、長い職業生活の間には、数えきれないほどの歓迎会、送別会、懇親会等があったが、目の前の料理を味わって食べることは稀だった。職場の宴席などそんなものと割り切ってしまえばいいのだろうが、宴席が、職業人としての気遣いだけに終わってしまったことに、過ぎ去ってみて一抹の寂しさもなくはない。平成21年作。『春霙』所収。