「春隣」には、長い冬を経て、待ち望んでいた季節がやっと到来するとの期待感があるが、「夏隣」には、到来する季節に対する心弾むような期待とともに、暑さの厳しい季節を前にした緊張感も交じるようだ。
銀座のとある画廊で見掛けた一枚の油絵が契機になっている作品。桜島が画面いっぱいに描かれていた絵だったと記憶する。その色彩や筆致のもつ躍動感に、一見して夏の到来を感じた。万物にエネルギーの満ち溢れる夏がすぐそこまで来ていた。こちらも、夏に負けないよう、気を引き締めて待ち受けなければなるまい、と思った。平成31年作。