「花の雨」は、桜の咲いている頃に降る雨。眼前に桜が咲いているかどうかは問わない。桜の咲く頃は周期的に天気が崩れ、折角の花を散らしてしまうことも多い。夜半、音を立てて降る雨に目覚めて、今年の桜も終わりだなと、残念に思いながら再び眠りにつくこともある。
掲句は、子に乳を含ませる母としての実感を詠んだ作品。授乳の経験がなければ詠みえない一句だろう。乳を欲る子の口の熱さは、溌溂たる命の証でもある。折からの「花の雨」は、母子を明るくやさしく包み込む。『俳句』2023年5月号より。
「花の雨」は、桜の咲いている頃に降る雨。眼前に桜が咲いているかどうかは問わない。桜の咲く頃は周期的に天気が崩れ、折角の花を散らしてしまうことも多い。夜半、音を立てて降る雨に目覚めて、今年の桜も終わりだなと、残念に思いながら再び眠りにつくこともある。
掲句は、子に乳を含ませる母としての実感を詠んだ作品。授乳の経験がなければ詠みえない一句だろう。乳を欲る子の口の熱さは、溌溂たる命の証でもある。折からの「花の雨」は、母子を明るくやさしく包み込む。『俳句』2023年5月号より。
マメ科の多年草でヨーロッパ原産。江戸時代に渡来し、野生化した。「しろつめくさ」は俗称。通常は三つ葉だが、稀に四つ葉のものがあると幸運をもたらすものとして珍重される。晩春に、白い鞠状の花を咲かせる。春たけなわの伸びやかな地の起伏や空間を感じさせる季語だ。

「鯉のぼり」は、端午の節句に男の子の健やかな成長を願って庭先などに立てる飾り。最近は、民家の庭に鯉のぼりが揚がる姿を見ることは少なく、ベランダや室内に飾る小型のものが増えている。
掲句は、屋外に立てた鯉のぼりがよき風を得て、気持ちよさそうに靡いている情景。若葉や青草の匂いを含んだ五月の清々しい風の中の鯉のぼりを、「清流に棲む」と表現したところがいい。鯉の形を模した命なきものに生命を吹き込む卓抜な措辞だ。黄河の急流にある滝を多くの魚が登ろうと試みたが鯉のみが登り切り、竜になることができたとの中国の故事を思い起こしてもいいだろう。『俳句』2023年5月号より。
ケシ科の一年草。観賞用に栽培されるが、近ごろは野生化し、路傍や中央分離帯など、どこにでも見られる。ヨーロッパ原産だが、江戸時代に渡来した。蕾は最初は下向きで、咲くときに顔を上げ、5月頃、紅、桃色、白色などの四弁花を咲かせる。園芸種には八重咲もある。「虞美人草」とも呼ばれる。
下の写真は、雛罌粟と罌粟坊主が入り交じって風に揺れているところ。

歳時記に晩夏の季語として掲載されている「独活の花」はウコギ科の多年草であるのに対し、「花独活」は、セリ科の多年草で、初夏に白い小さな花を笠のような形に密集して咲かせる。葉や茎がウコギ科の独活に似ていて、独活よりも美しい花をつけることからこの名がついたという。「花独活」は一般の歳時記には掲載されていないが、初夏の山野を歩いていると、否でも目を引く花の一つだ。
